現地調査11 篠山市へ

   高砂市の調査のあと、11地区目、篠山市を訪れた。


   篠山市は、篠山城を中心とした城下町が有名だが、周辺には街道集落や農村集落が残り、里山の原風景が広がっている。これまでは、城下町が観光やまちづくりの中心だったが、今後は、それぞれの地区の特性を活かし、歴史文化を活かしたまちづくりを進めていこうとしている。


   午後からのヒアリングの前に、城下町を歩いてみる。  丹波篠山といえば、黒豆や栗などが有名であり、町の至るところで売られている。


  篠山城跡。徳川家康により、豊臣家及びそのゆかりの大名に睨みをきかせるために築城された。失火により消失した大書院が復元されている。


   伝統的建造物群保存地区河原町能楽美術館、丹波古陶館を訪れる。どちらも良い雰囲気の美術館だった。


   春日神社。篠山城が築かれる前から存在した神社。境内には能舞台が設置されている。


   午後、教育委員会の方からお話を伺う。


   その後、上司のお友達の一般社団法人ノオトの代表理事の方にお会いさせて頂いた。ノオトは、文化施設の指定管理、古民家の再生、篠山の食のブランド化などの活動に携わっておられる。創造的な活動で農村を活性化させ、地域を再生させている。ウェブやリーフレットなどのデザインややり方がスマートで格好良いのだ。事務所を置き、指定管理されている篠山市民センターは、ここは東京か横浜?と思うほどおしゃれでクリエイティブな雰囲気が漂っていた。


   ノオトの活動を中心に、篠山をご案内いただく。集落丸山では、空き家だった古民家を借り、改修してホテルにし運営されている。内装はため息が出るほどおしゃれ。おしゃれなイタリアンのお店も神戸から移って来ていて、農村の中にラグジュアリーな空間が形成されている。周囲の住民の方々がスタッフとして管理しているそうだ。


   夜は、別の地区の古民家に泊らせて頂いた。古民家というと、大変そうな不便なイメージがあったが、最低限の改修ながら、水周りはきちんと整備されているので、とても快適だった。スタッフの方と、管理人の方と囲炉裏を囲んでの晩御飯。贅沢な時間である。早稲の黒枝豆も味わう事ができ、非常に美味しかった。管理人の女性とも沢山話すことができて楽しかった。



   次の日は、伝統的建造物群保存地区を目指している福住地区、日置地区、篠山城下町を案内いただいた。


   福住地区は、街道集落で、農村と城下町の中間的な特徴を持つ集落である。民家は母屋と離れを持ち、それらが廊下でつながっているというのが特徴である。また、少し離れたバイパスを走ると、民家の裏の田畑の広がりを後ろから眺めるとことができる。この地域も、これから様々なプロジェクトが進みそうだ。


  次に、日置地区へ。ここでは、ノオトが手がけた庄屋の屋敷を改装したショップ群がある。屋敷はレストランになっており、蔵もそれぞれおしゃれで個性的なショップが軒を連ねる。


  最後に城下町へ。河原町の伝建地区の中にも、ノオトがリノベーションしてリースしている物件が複数ある。どれも、昨日眺めて素敵だなと思った物件ばかりだ。

  堀の南の武家屋敷の中にあるカフェへ。これもノオトの物件なのだが、とてもおしゃれ。岩茶という中国茶をいただきつつ、静かな空間を過ごすことができる。色々なお話を聞くことができてとても勉強になった。


   ギャラリーKITAさんのワークショップへ。江戸の伝統工芸の職人さんたちの展示がされており、その日は、職人さんを招いたトークショーが開催されていた。町屋を改装したとても素敵な空間である。
   オーナーの喜多さんは、有名なプロダクトデザイナー。伝統的な技術を支援する場合は、ピンポイントの支援ではなく、伝統的な生活全体を再生しするようなコンセプトが必要である、というお話をしていただいた。


   篠山はすごく魅力的な地域だと感じた。またゆっくりと訪れたいと思う。また、伝統を生かしながら、現代的なセンスを取り入れているノオトの活動にとても刺激を受けた。
  ノオトの皆さん、喜多さんを始めお話を聞かせていただいた皆さんに感謝である。