現地調査⑥ 上越市へ⑴

   現地調査6、7箇所目。新潟県上越市佐渡市の調査に向かう。


   新幹線で越後湯沢まで行き、その後、はくたかに乗り換え、直江津へ。上野から2時間程度。新潟を訪れるのは初めてだが、関東から近いのだと実感。


   直江津から高田に移動し、まずは高田のまちなみを歩く。高田は、徳川時代に城下町だったところ。明治になって他の城下町と同様、勢いを失うが、師団の誘致に成功し、再び勢いを取り戻す。現在、駅前はシャッター通りとなってしまっており、再び活性化の糸口を探っているようだ。北陸新幹線の開通に、大きな期待が寄せられているのだろうか。


   おそらく、多くの地方都市が同じような状況に悩んでいるんだと思う。歴史文化基本構想にアプライした自治体の方に話を聞いていると、住んでいる人たちに誇りを取り戻してもらいたい、という思いで進めている自治体が多い。私も、過疎化が進む地域の出身なので、その危機感は身を持って感じる。


   高田は、明治期には大きな問屋街があり、今でもその面影を開幕見ることができる。雪の多い地域なので、雁木という木製のアーケードを各家が自分の軒先に設置している。


私有地を通路として道行く人に提供しており、それが16kmもつながっているという。上杉謙信の時代からの、義の精神、助け合いの精神が今も息づいているのだと、観光案内所の方が熱く語ってくれた。そういう話を春日山城の上で子どもたちに聞かせているのだそうだ。本当にこの地域に誇りを持っているのだと伝わって来た。やはり、若い人にそれをどう伝えるかが、課題なのだと思う。


  高田小町へ。高田小町は、市が町屋を買取り、施設として公開したり貸し出しているもの。


今日も民謡の会の練習に使われていた。昔、この地方には、高田瞽女という盲目の女性の旅芸人たちの伝統があったそうだ。その展示を見ながら、おそらく彼女らが歌っていたであろう民謡を聞くことが出来、風情があった。


   その後、染物屋や明治期の定食屋などの古い建物、街道を示す石碑などを見つつ、雁木通りを歩く。軒の高さが様々で、眺めると雁が連なって飛んでいるように見えるため、この名前がついたのだという。幾度も雁木をくぐっていくと、まるで神社の鳥居をくぐり抜けているようで、異世界を抜けていくような、不思議な感覚にとらわれた。


   その後、師団長官舎、高田城跡などを見て駅に戻る。高田城公園のお堀は、一面のハス池で素晴らしい光景だった。


   少し時間があるので、直江津まで行ってみることにする。なんとなく、海の方にひかれて向かってみる。駅からの通りには、しばらく笹団子などを売る土産屋が並んでいる。海までは結構距離があるが、夕暮れの中、港町独特の雰囲気が感じられて良い感じだ。


    日本海で、9月に入っているのでさすがに波が荒い。ここは夕日スポットのようで、ちょうど、夕日が水平線に傾いていく様子が眺められ、とても綺麗だ。反対側の空も、青がとても澄んでいて神秘的だった。なんとなく海に向かったのだが、とても印象に残る光景に出会えた。


   近くには、安寿と厨子王の供養塔、芭蕉の句碑、与謝野晶子の句碑も立っている。義経が一夜を過ごしたという寺もあった。特に歴史的な建物が多い訳では無いが、直江津は歴史的な場所であり、今もその雰囲気をとどめていると感じた。