現地調査⑤ 尾道市へ

 現地調査5箇所目。広島県尾道市を訪れた。
 尾道は、通っていた高校に近かったため、たびたび訪れてた場所だ。


 東京で知人を通じてお会いした、尾道でテキスタイルの制作をしている新里さんに連絡してみる。研究所に連絡すると、今日は店舗に出ていらっしゃるとのことで、店舗は自分がいる場所にとても近かった。新里さんに伺ったところ、たまたま月に1度くらいの店舗に出る日だったとのこと。不思議な偶然だ。

 
 店舗には、地元の素材を使った素敵な色で染められたショールや帆布の小物が並んでいる。
 新里さんに伺うところによると、Iターンして、地域でブランドを持ちたいという学生が最近増えており、昨日もそういう学生を集めて研修会を実施していたのだそうだ。そういう時に、必要なのが、実際の生活を見せることだという。研修所と職場の往復だと、なかなかその土地に残ってくれるひとは少ないのだそうだ。新里さんの研究所も、Iターンした人たちだけで運営されているという。そういう人たちの力も合わせて、魅力あるブランドづくりが行われているのだと強く感じた。
 枇杷の鉄媒染で染められたという淡い紫色のポーチを購入し、お店にをあとにする。今度は工房を見学させて頂こうと思う。


 少し時間があるので、「こもん」という喫茶店に寄ってみる。尾道は、ロケ地として有名であり、この喫茶店もかつて映画に使われている。


 その後、尾道市教育委員会文化振興課を訪れ、課長さん、担当の方にお話を伺う。
 尾道は、中心市街地ほど人口減少、高齢化に悩まされており、空き家の問題が深刻であるという。個人で管理できなくなり、市が管理する歴史的建物もかなりあるそうだ。このため、民俗行事の担い手不足が、文化財群保護行政としては一番深刻な問題であるという。現在、尾道では空き家プロジェクトなどのNPOの方々がたくさん活動されているようだ。


 やはり、鍵となるのは人。どこまで行政としてバックアップできるのかという点は常に悩みだが、地域で頑張る人を応援できるようにしていきたいと強く感じた。


 新里さんからは、空き家プロジェクトの取り組みを紹介していただいたのだが、友人と会う約束もあり、残念ながら伺えなかった。次回訪れるときには、新里さんの工房や、空き家プロジェクトの取り組みもぜひ勉強したい。