現地調査④ 小浜市・若狭町へ⑶

  小浜市若狭町3日目。
  今日は、若狭町の担当者の方に、小浜市若狭町文化財を案内していただき、まちづくりを支える人たちを紹介していただいた。


  まず、円通寺へ、本堂と五重塔は国宝。また、重要文化財の仏像が何体も存在している。


この辺りは、貴重な仏像の所在するお寺の多い地域なのだ。ご住職にお話を伺うことができ、修理中の桧皮葺の作業も見学させていただいた。


初めて見るが、その整然とした美しさに感動する。本堂の薬師如来も、いつまでも眺めていたいものだった。この辺りのお寺は、立地にこだわって作られており、周りの自然と一体となっての文化財であると ご住職はおっしゃっていた。


次に、毎年3月2日に行われる「お水送り」の行事の舞台となる、神宮寺と鵜の瀬へ。


  次に、熊川宿の保存協会長さんにお会いする。
  文化庁のふるさと文化再興事業で、祭りの山車が復活したというお話を伺った。モデル事業をどのように具体化していくのか、それが必要だとのお話。地元と一体となって進めれば進めるほど、地元の期待が高まる。まちづくりに対する支援については、そのことを常に念頭に置いて進めなければならないと感じる。また、まちづくりに一番大切なことは、家の中に常に笑いが起きること。家庭を犠牲にしてまで取り組んではいけない、というお話もメッセージとして響いた。


  次に、熊川宿の技術保存会の会長さんにお会いする。
  まちづくりのために貢献しておられる非常にパワフルな方だった。その後、お会いした公民館の館長さん達も同様であった。若狭町では、各公民館の館長さんに核となる人が座り、まちづくりを支えていっておられる。


  若桜町の歴史文化館へ。
  脇袋古墳等からの出土品が展示され、大陸から渡ってきた服飾品などが驚くほど綺麗に残っている。ここまで本物が市町村内にまとまって展示されているのに、奈良から来た人なども驚くらしい。改めてこの地域の文化の多層性を感じる。


  王家の谷と言われる古墳群の間を抜け、三方地域へ。こちらは、ラムサール条約にも登録された三方五湖がある地域だ。


  若狭縄文博物館へ。
  ハスプロジェクトの事務局長をされている方にご案内いただく。モデル事業へのお考えを伺うと、やはり、計画が地域の人たちに浸透するのが課題だとおっしゃっておられた。
  その後、博物館の室長さんからもお話を伺うが、この地域は、人がたくさん住む名勝であるということで、家の建て替えなどにも現状変更の許可が必要だとであり、非常に厳しい規制のもとに生活しているそうだ。名勝と人との共存という大きなテーマを感じた。


  三方五湖へ。
  文化庁時代にお世話になった先生から、ぜひ水月湖を見るようにと言われていたので、連れて行っていただいた。水月湖は、湖の底に年縞という泥の層が幾重にも溜まっており、それを歴史文化の積み重なりになぞらえてその先生がお話されていたことが非常に印象的だったのだ。とても静かな湖だった。


  小浜駅に戻る途中、発掘調査にこられている花園大学文化遺産学科の先生にお会いする。長らくこの地域をフィールドにされているそうだ。


  初日と2日目、自分の足で町を歩き、3日目には、教育委員会の方のご案内いただき、まちづくりを支える色々な方々にお会いすることができ、本当に勉強になった。まちづくりは、そこに住む様々な人たちに支えられて成り立っているのだと強く感じた。そして、地域に積極的に出て行き、そうした人たちと腹を割って話し合える担当者の存在も本当に重要だと感じた。


  また、小浜市若狭町を訪れ、この感覚を噛みしめながら、仕事に生かしていきたいと思う。お世話になった教育委員会の方々、お話を聞かせていただいた皆さんに感謝である。