現地調査④ 小浜市・若狭町へ⑴

現地調査4箇所目。福井県小浜市若狭町を訪れた。これまでは関東近辺で日帰りだったが、今回は2泊3日で訪れた。


新幹線で米原まで行き、北陸本線敦賀へ、さらに小浜線に乗り換える。敦賀でずいぶん電車待ちの時間があったため、途中下車してみる。街の様子や人とのしゃべり方も、どこかのんびりとした雰囲気が漂っている。


小浜線から、右手に見える三方五湖を眺めようとしていたのだが、うっかり寝ているうちに小浜に到着してしまった。 小浜市若狭町は、しっかりと文化財を生かしたまちづくりが行われているという印象を持っていたため、訪れるのが楽しみだった。


荷物を案内所に預け、レンタサイクルを借りることに。海へ向かう通りを5分ほど走ると海。日本海、白鳥海岸という海水浴場がある。先日伊豆を訪れたが、太平洋とはやはり雰囲気が違う。松が植わっており、日本的で、水も暗い透明感がある。


近くのレストラン「雅」へ。小浜といえば鯖だと思っていたので、鯖寿司を注文。鯖寿司は、岡山でもよく食べていたが、岡山の空方が酢がきつい気がする。こちらは、京都好みの薄味なのだろうか。


店のすぐ近くに、「小浜西組」という漁師町の重要伝統的建造物群保存地区の入り口がある。
雨は降っているが、傘をさして歩き始めることに。


  歩いていて気がつくのが、道の至るところに祠があり、お地蔵さんが祀られている。今は地蔵盆で、綺麗に化粧がされている。化粧は、一年かけて落ちていくのだそうだ。それを、地蔵盆の前に子供たちが海で綺麗に洗い、化粧を施すのだという。生活の中に、信仰が深く息づいているのを感じた。


  町を南に歩くと常光寺。朝井3姉妹の次女、お初が眠る寺として、大河ドラマの影響で一気に訪れる人が増えたらしい。

 寺は高台にあるのだが、そのふもとに「滝の水」という湧き水がある。水源はどこなのかわからないらしい。


  西へ向かうと、空印寺の脇に、人魚の肉を食べて不老不死になったという八百比丘尼が入定したという洞穴がある。脇の山にも小さなお宮があり、神秘的な雰囲気の漂う場所だった。


  さらに西にいくと八幡神社。 大きな鳥居の両脇に立派な狛犬が鎮座している。この辺りの家の屋根近くの壁に、「水」という文字が書かれているのが見える。あとで聞くと、日除けのまじないのようだ。夏に見るとなんとなく涼しげに感じる。


  さらに、歯科医院やお菓子屋さんなど、登録建造物になっているような古い建物があるを眺めつつ、最初にスタートした小浜公園に戻って来た。

  観光案内所に自転車を返しホテルへ。途中、いずみ町という魚屋さんが軒を連ねる商店街へ入ってみる。ここが鯖街道の起点らしい。閉まっている店が多いが、何軒か、軒先で焼き鯖やへしこなどを売っている。やはり、鯖はこの辺りの人々の生活に欠かせない食材のようだ。


  ホテルのある通りは、古い町並みが残っている落ち着いた雰囲気のあるところだ。
  後で教育委員会の方に聞くと、この辺りは、保存地区になっていないものの価値ある町並みがよく残っているそうだ。


  暑い中歩いて疲れていたので、ホテルのご主人おすすめの、濱の湯という温泉施設に行ってみる。地元の家族連れの人も多いようだ。孫の小さな男の子と仲良くお湯に入っているおばあさん。いつも、若狭の海を眺めながら、生活の中の幸せを感じているのだろうか。
  歴史文化を生かしたまちづくりは、住んでいる人の生活があってこそ成り立つ。当たり前のことだが、日々制度に向き合って仕事をしていると、その感覚に疎くなってしまう。また、東京で生活していると、ともすればこのような地に足のついた生活を忘れがちである。
  こういう感覚に触れる場、取り戻す場が必要な気がする。

 
  明日のヒアリングに備えて、早めに就寝。