現地調査① 足利市へ

修論のための調査を始めています。研究テーマは、「歴史文化基本構想」。

「歴史文化基本構想」とは、各地域において、地域に根ざした文化財を幅広く把握し、周辺環境も含めて総合的に保存活用していく(地域づくりに生かしていく)ことが重要である、という考え方であり、歴史文化を生かした地域づくりをしようとする自治体が作成することが望ましい総合計画のことを指します。平成19年に文化庁の審議会でその重要性が提言されました。この提言に基づいて、平成20〜22年度で、全国20の地域で、本構想の策定をモデル的に行うという事業が文化庁の事業で展開されています(詳しくは、以前のブログ記事をご覧ください)。


修論では、本構想のためのモデル事業を実施した自治体にヒアリング調査をし、歴史文化基本構想策定のモデル事業の成果と課題をまとめる予定です。
本格的な調査は授業の減る8〜9月に行いますが、関東近辺の自治体には、7月から行おうとしています。

 
最初の訪問祭として、栃木県足利市に行ってきました。
足利市では、足利学校で有名ですが、足利学校鑁阿寺といった中心的な文化財を中心に、様々な時代の歴史文化を掘り起こし、まちづくりに生かしていこうとされています。また、個人のお家の中に立派な庭園があるのもその特徴で、今回のモデル事業においても、庭園調査を行っています。


ヒアリングの前に、イメージを深めるため、市内の文化財を見ることにしました。猛暑日であまりうろうろできませんでしたが、中心的な文化エリアである足利学校鑁阿寺周辺を歩きました。この辺りは、石畳でつながった雰囲気のある地域となっています。




午後からは、教育委員会文化財担当の方にお話を伺いました。
この事業、自分が立ち上げに関わったものなので、その事業が現場でどのように行われているかを聞くことは、とても勉強になりました。やはり、現地に伺って、話を聞いてわかることは沢山あるのだなと感じます。


ヒアリング後は、栃木市の小山高専サテライトキャンパス開校記念シンポジウムの懇親会に参加するため、栃木市に移動しました。実は、不思議なご縁で、栃木市のまちづくりを担当している課長さんと知り合い、このシンポジウムに誘っていただいたのです。そして、今回のシンポジウムの主役である小山高専の校長は、私が文化庁時代にお世話になった建造物の専門家の方。本当に、人とのつながりは面白いです。


懇親会の前に、今度伝統的建造物群保存地区になる予定である栃木市のまちなみを見て歩きました。



懇親会では、まちづくりを支えている色々な方々にお会いし、お話を聞かせていただきました。地方は軒並み人口流出に苦しんでいますが、そのような中、ずっと住み続けられる町にするために、伝統的建造物群保存地区の選定を目指すのだ、というお話が印象的でした。

色々なご縁に感謝です。