歴史的な建物は使われてこそ価値が出る

 テレビのニュースで、イタリアでは無人となった教会の建物を不動産として売買し、住宅としてリノベーションしている、という話題を見ました。

 日本でも、町屋や、銀行などの商業施設としての建物のリノベーションは進んでいますが、お寺や神社などの宗教施設を住宅にする…という考え方はあまりないと思いますので、文化の違いを感じ、ちょっと驚きでした。

 そういう意識の違いはあるにしても、「歴史的な建物は使われてこそ価値が出る」という考え方には、私も大賛成です。

 文化庁にいたときから、私の考え方のベースはそこにあったように思います。単なる保存ではなく、人々の目に触れ、暮らしと共存する形での文化財の保存。様々な考え方があると思いますし、文化財の種類によっても様々ですが、その精神は、これからも中心的なテーマとして行きたいと思います。