たいとう歴史都市研究会「上野のお山探訪」に参加しました

 NPO法人「たいとう歴史都市研究会」(通称たい歴)さんの主催するイベントに参加してきました。



 たい歴さんは、東京、台東区界隈の古い町にある古い家や町に込められた暮らしの文化を、人びとが共に生きる知恵として見直し、さらに活かすことを目的に、設立されています。
 具体的には、「市田邸」「間間間(さんげんま)」「カヤバ珈琲」「平櫛田中邸」といった谷中にある町家の保存活用や、勉強会の開催などの活動を行っておられます。


 たい歴さんとの出会いは、文化庁に所属していたときに、文化財の保存活用をしているNPOにお話を伺おうと、課長とともに市田邸にお伺いしたのがきっかけでした。代表の椎原晶子さんに、NPOの活動や目的について、丁寧にご説明いただきました。それがきっかけで、私は時々イベントに参加させていただいていたのです。


 今回参加した勉強会は、「上野のお山探訪」シリーズで、上野公園の誕生秘話、江戸期の寛永寺の姿、太古からの自然など、さまざまな視点から「上野のお山」を再発見しようとするもの。過去に、「江戸千家と茶室一円庵見学」「上野公園 近代建築散歩」に参加したことがあります。
 今回は、「江戸東京物語」。東京芸術大学名誉教授の前野まさる先生を講師として、江戸の寛永寺から明治の上野公園開設、現在までの400年を体験しようというもの。
 市田邸集合、講義のあと、芸大、東京国立博物館寛永寺葵の間(十五代将軍徳川慶喜謹慎の間・通常非公開)等を見学しました。


 今回の勉強会で印象的だったのは、講義の中で前野先生がおっしゃっていた内容の1コマです。

〜谷中には、植木棚の文化があり、それがご近所同士の普段の会話のきっかけとなっているり、今でも向こう三軒両隣でさりげなく助け合う暮らしの文化が生きている。警視庁の調査によると、植木棚のある地区では、犯罪発生率が低いとのデータもある。
 まちづくりをするには、このようなその地区独自の伝統的な文化を理解し、生かしていく必要がある。それを理解していない者がまちづくりをしようとしても、うまくいかない〜
というお話でした。
これから文化を生かしたまちづくりについて考えて行く上で、非常に大切な視点をいただいたと思います。


 午後の見学会でも、秋晴れの美しい季節の中、上野界隈の歴史的な建物や場所をめぐることができ、本当に充実した時間でした。前野先生は、本当に人を喜ばせることが好きな、魅力的な方でした。
 前野まさる先生、福濱さんをはじめとした事務局の方々、本当にありがとうございました。
 今後の勉強会も、是非参加させていただきたいと思います。